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「新しい意味」と「情緒的価値」。

 

先日、木工作家の友人と一緒にエントリーした秋の小物展示会の審査結果が出て、残念ながら書類選考で落選してしまいました。

それで、昨晩は三軒茶屋にあるお気に入りの居酒屋「マルコ」で反省会。

お互いあきらめの悪い人間なので、「ダメだったけど、良い経験になったね。」なんて一度きりの思い出として丸く収めるつもりは毛頭なく、きちんと落胆して自信を無くし、前に進むための言い訳を並べて慰め合い、次回でのリベンジを誓いました。

ただ、今回の挑戦で再確認したことがあります。

それは、“「役にたつ」だけでは、もう通用しない時代になる”ということ。

高品質で高機能といった、いままで日本のメーカーが得意としてきた「役に立つ」強みは、スマホひとつで世界中の製品が簡単に比較できて手に入るいま、決して珍しいものではなくなりました。

実際に、10年前はさんざん酷評されていた中国製品も、いまではかなり高品質になってきています。
それでいて、日本のメーカーに比べて価格がとても安い。
同じような品質と機能であれば、当然少しでも安い方を選ぶと思います。

では、これから先に求められるものは何かというと、それは「新しい意味」です。

例えば、ろうそく。

電球が生まれる前までは「明るくするための道具」でしたが、今は「暗くするための道具」として活躍しています。

電気を消してろうそくの光だけで部屋を照らすことで、落ち着いた雰囲気を楽しむことができるんですね。

電球ができて以降ろうそく産業が衰退しているかと思いきや、じつは今どんどん伸びているのです。

ただ、プレイヤーは入れ替わっていて、当初の「明るくするための道具」としてろうそくを作っていた老舗メーカーは淘汰され、新たに「暗くするための道具」という意味を持たせたベンチャーが急成長を遂げています。

ろうそくとしての性能は全く変わっていないのに、意味を変えることで、新たな価値が生まれたのです。

このことを「意味のイノベージョン」といいます。

あたかも自分が考えたかのように書いていますが、もちろんそんなことはなく、最近のデザイン界隈で注目されている、イタリア発の新しい考え方です。
むずかしい言葉でいうと、「デザイン・ドリブン・イノベーション」といいます。

この考え方の面白いところは、「新しい意味」は発明するものではなく、「いつもぼくたちの目の前にある」という点なんです。
「暗くするためのろうそく」は、「家で過ごす時間を楽しむ」という日常の中から見出された、新しい意味です。

ぼくたちの日常には新しい意味のヒントがたくさん隠れていて、いかに気付くことができるかがポイントです。

 

もうひとつ。
「情緒」という感覚に、ずっと興味があります。

小物も、洋服も、家具も、キッチンも、車も、みんな「役に立つ」だけでいいなら一番身近で安く手に入るモノを選ぶと思うんですね。
実際、自分も特にこだわりはないけど必要なモノは、なるべく近場で安く手に入れたいと思ってしまいます。

でも、量販品の何倍ものお金を出してブランド製品を買ったり、ほぼ同じ性能なのに国産車の倍ぐらい高価な輸入車を選んだり、既製品より高価でしかも購入するまでに時間のかかるオーダー家具やオーダーキッチンを選ぶ人って、「役に立つ」だけが価値基準ではなく、きっと「心が満たされること」を求めているでのはないかと思うのです。

では、何が「心を満たしてくれる」のかというと、それが「情緒的価値」なのかなって思います。

ちょっと例えが的外れかもしれませんが、大切な人から貰ったモノって、価格や希少性に関係なく、なんでも嬉しいし、とても大切にするじゃないですか。
これってまさに「情緒的価値」だと思うのです。

情緒的価値はとてもパーソナルなもので、それがつまりその人にとっての「新しい意味」でもあるのかなって。

 

「新しい意味」と「情緒的価値」。

これからもっと深く掘り下げていきたいと思います。

 

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