ソファカバーの見せどころ
リビングとダイニングの段差を生かして製作したベンチソファ。
ソファを設計するときにいつも考えることが、クッションカバーのステッチの方向について。同じカバーサイズでもステッチの方向を正面向かって縦方向にする場合と、横方向にする場合で見た目の印象がとても変わります。
正面向かって縦方向のステッチは、少し柔らかい印象をもたせたい時に。正面からステッチが見えないので、座るたびに少しずつ生じるカバーのずれを目立ちにくくする効果があります。(カバーのステッチラインと内部ウレタンのコーナーラインがずれてくると、カバーのずれが目立ちます。)また、横ステッチに比べて縦ステッチは少しカジュアルな雰囲気になるので、内部ウレタンの角アールも大きめにとってバランスをとることが多いです。
一方、正面向かって横方向のステッチは、水平ラインが強調されてスッキリ見えるので、モダンな雰囲気にしたい時に。正面にステッチが見えるので、なるべく角のアールを小さくしてステッチラインをキレイに見せるのがポイント。
他にも、細い芯材を生地でカバーしたものをコーナーにつけるパイピングや、生地どうしをつまんでステッチをかける方法など、いろいろな縫製方法があり、木工とはまた異なる、とても奥が深くて面白い世界があります。
特に海外メーカーの製品はクラシック、現代問わず生地製品ならではの曲線美がどれも本当にキレイで、いつも見とれてしまいます。
オーダー家具は木工製品のイメージが強いけど、自分は生地製品も木工製品と同じくらい、これからも勉強しながら大切にしていきたいと思います。